セクションのイベント発生順は、セクションのプロパティ設定によって大きく変化します。なかでもNewPage、KeepTogether、GroupKeepTogether、NewColumnプロパティなど、改ページ処理に関連するものは非常に大きな影響を与えます。このトピックでは、改ページ処理によるイベント発生順の変化を解説します。
レポートの構成
観測に用いたレポートは以下の3つです。
- レポート1
セクション（グループヘッダ、詳細、グループフッタ）、レコード数：6（3レコード／ページ）、グループ数:2、総ページ数：2
- レポート2
レポート1のグループヘッダのNewPageプロパティを「Before」に設定しグループ毎に改ページさせたレポート。
- レポート3
レポート1のグループフッタのNewPageプロパティを「After」に設定しグループ毎に改ページさせたレポート。
※出力結果はレポート2と同じです。 - レポート4
レポート1のグループヘッダのGroupKeepTogetherプロパティを「All」に設定し、改ページされたレポート。
※出力結果はレポート2と同じです。
レポート実行結果
それぞれのレポートを実行し、セクションイベントの発生順を観測すると、以下のような結果となります。
| レポート1 | レポート2 | レポート3 | レポート4 | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ReportStart | ReportStart | ReportStart | ReportStart |
| 2 | PageStart | PageStart | PageStart | PageStart |
| 3 | GroupHeader1_Format | GroupHeader1_Format | GroupHeader1_Format | GroupHeader1_Format |
| 4 | GroupHeader1_BeforePrint | GroupHeader1_BeforePrint | GroupHeader1_BeforePrint | GroupHeader1_BeforePrint |
| 5 | GroupHeader1_AfterPrint | GroupHeader1_AfterPrint | GroupHeader1_AfterPrint | GroupHeader1_AfterPrint |
| 6 | Detail_Format:1 | Detail_Format:1 | Detail_Format:1 | Detail_Format:1 |
| 7 | Detail_BeforePrint:1 | Detail_BeforePrint:1 | Detail_BeforePrint:1 | Detail_BeforePrint:1 |
| 8 | Detail_AfterPrint:1 | Detail_AfterPrint:1 | Detail_AfterPrint:1 | Detail_AfterPrint:1 |
| 9 | Detail_Format:2 | Detail_Format:2 | Detail_Format:2 | Detail_Format:2 |
| 10 | Detail_BeforePrint:2 | Detail_BeforePrint:2 | Detail_BeforePrint:2 | Detail_BeforePrint:2 |
| 11 | Detail_AfterPrint:2 | Detail_AfterPrint:2 | Detail_AfterPrint:2 | Detail_AfterPrint:2 |
| 12 | Detail_Format:3 | Detail_Format:3 | Detail_Format:3 | Detail_Format:3 |
| 13 | Detail_BeforePrint:3 | Detail_BeforePrint:3 | Detail_BeforePrint:3 | Detail_BeforePrint:3 |
| 14 | Detail_AfterPrint:3 | Detail_AfterPrint:3 | Detail_AfterPrint:3 | Detail_AfterPrint:3 |
| 15 | ||||
| 16 | ||||
| 17 | ||||
| 18 | GroupHeader1_Format | GroupHeader1_Format | PageEnd | GroupHeader1_Format |
| 19 | GroupHeader1_BeforePrint | PageEnd | PageStart | Detail_Format:4 |
| 20 | GroupHeader1_AfterPrint | PageStart | GroupHeader1_Format | PageEnd |
| 21 | Detail_Format:4 | Detail_Format:4 | GroupHeader1_BeforePrint | PageStart |
| 22 | PageEnd | GroupHeader1_BeforePrint | GroupHeader1_AfterPrint | Detail_Format:5 |
| 23 | PageStart | GroupHeader1_AfterPrint | Detail_Format:4 | GroupHeader1_BeforePrint |
| 24 | Detail_Format:5 | Detail_BeforePrint:4 | Detail_BeforePrint:4 | GroupHeader1_AfterPrint |
| 25 | Detail_BeforePrint:4 | Detail_AfterPrint:4 | Detail_AfterPrint:4 | Detail_BeforePrint:4 |
| 26 | Detail_AfterPrint:4 | Detail_Format:5 | Detail_Format:5 | Detail_AfterPrint:4 |
| 27 | Detail_BeforePrint:5 | Detail_BeforePrint:5 | Detail_BeforePrint:5 | Detail_BeforePrint:5 |
| 28 | Detail_AfterPrint:5 | Detail_AfterPrint:5 | Detail_AfterPrint:5 | Detail_AfterPrint:5 |
| 29 | Detail_Format:6 | Detail_Format:6 | Detail_Format:6 | Detail_Format:6 |
| 30 | Detail_BeforePrint:6 | Detail_BeforePrint:6 | Detail_BeforePrint:6 | Detail_BeforePrint:6 |
| 31 | Detail_AfterPrint:6 | Detail_AfterPrint:6 | Detail_AfterPrint:6 | Detail_AfterPrint:6 |
| 32 | ||||
| 33 | ||||
| 34 | ||||
| 35 | PageEnd | PageEnd | PageEnd | PageEnd |
| 36 | ReportEnd | ReportEnd | PageStart | ReportEnd |
| 37 | PageEnd | |||
| 38 | ReportEnd |
考察
- レポート1では、一見すると出力される順番どおりに、各セクションのFormat、BeforePrint、AfterPrintイベントがひとまとまりできれいに発生しているように見えます。しかしながら、4レコード目の詳細セクションは2ページ目に出力されていますが、(21)Detail_Formatは、1ページ目の処理中に発生していることがわかります。これは「集計コントロールによるイベント発生順の変化」の考察2において解説されているとおり、ActiveReportsでは一般的な動作です。
- レポート2、レポート3、レポート4は、いずれも出力結果は全く同じですが、改ページされる要因となっているセクションのプロパティが異なるため、イベントの発生順序が異なっていることがわかります。
- レポート2では、(18)GroupHeader1_Formatイベントの発生後に、1ページ目の処理が終了しています。これは、GroupHeader1のNewPageプロパティが「Before」に設定され、GroupHeader1の出力前に改ページされたためです。
- レポート3では、(17)イベントの発生後に、1ページ目の処理が終了しています。これは、GroupFooter1のNewPageプロパティが「After」に設定され、GroupFooter1の出力後に改ページされたためです。同様に、(34)イベント後にも改ページが発生しているように見受けられますが、この時点では、レポートが処理するデータはもう存在しないため、実際には改ページされることはありません。
- レポート4では、GroupHeader1のGroupKeepTogetherプロパティが「True」に指定されているため、グループヘッダ、詳細、グループフッタの各セクションは、可能な限り同一ページに出力されます。このため、2番目のグループは2ページ目に出力されますが、(18)GroupHeader1_Formatイベント、(19)Detail_Formatイベントが、1ページ目の処理中に発生していることがわかります。このとき、レポートは、2番目のグループヘッダまでは1ページ目に出力可能と判断しましたが、これに続く詳細セクションが1ページ目に収まりきらないため、このグループ全体が2ページ目に移動されました。